アメリカのスーパーマーケットチェーン「ウォルマート(Walmart)」。オンラインストアでは、日用品から衣料品、電化製品などあらゆるものが販売されています。


そこで、2024年末に話題になったのが、「Walmart(ウォルマート)でエルメスのバーキン(Birkin)そっくりのバッグがたった78ドル(日本円で約1万2000円)で販売されている!」ということでした。
WalmartはAmazonのようにサードパーティーのセラーも販売できるようになっているのですが、カムーゴ(Kamugo)というセラーが出品した「バーキンならぬワーキン(Wirkin)」という商品です。
労働階級のバーキンだからワーキン(Wirkin)※ウィルキンとも読む?と名付けられたそうですが、牛革と合成皮革を使っており、デザインはそっくり。価格は78ドル。12色のカラーと2種類のサイズがありました。


ウォルマートのバーキンバッグが話題になった理由
TikTokを中心にインフルエンサーが紹介したことから、このバッグはたちまち話題になりました。
SNSでは「開封の儀」なるものがされ、多くの人が紹介しました。
このバーキンそっくりバッグが話題になったのは、ブランドに似せて作られたものが、ウォルマートというよく知られているショップが販売したこと、だけが理由ではありません。
- エルメスのバーキンは高すぎる
- エルメスバーキンの価格は妥当なのだろうか?
- 新品であっても、お店ではお得意様だけだったり、他の商品との抱き合わせではないと買えない現実
- エルメスバーキンの商標権においてデザインの自由を奪っている
- 私たちは高額のバッグを望んではいない
というアンチテーゼの意味も含まれていることです。
つまり、Wirkinはファッションの民主化アイコンになって、人々の議論の的になったわけです。
確かにデザインは気に入っているにも関わらず、オリジナルの商品を手にすることは叶わず、高級ブランドの高すぎる価格とエリート主義に対する抗議の意味も含むようになったのです。
「エルメスは高すぎるし、簡単に手に入らない」「もっと気軽にバーキン風バッグを楽しみたい」「ファッションとしてバーキンバッグを開放してほしい」というような賛否両論を呼び、アメリカではかなり話題になりました。
ウォルマートはその後Wirkinを撤去
販売をしたのは実際はウォルマートではなく、サードパーティーのセラーでした。「ウォルマートのバーキン」という伝わり方をしており、本家のエルメスから「類似品の販売を促進した」と法的に訴えられる可能性も出てきたこともあってか、今はウォルマートではワーキンは販売されていません。
「Wirkin」と検索をしても、バッグの分野から探しても商品はヒットしません。
また、ウォルマートが高級志向のお客さんを取り込みたいとしている場合、エルメスのようなブランドと提携したいと考えても、模倣品と一緒にリストアップされたいとは思わないでしょう。


バーキン風のデザインはエルメス以外に手に入らないのか?
確かにバーキン風のデザインのバッグが欲しいと思ったときに、エルメス以外に選択肢はないのでしょうか?
エルメスはバーキンのデザインの立体商標権を持っていますから、類似した商品はエルメスから訴えられる可能性があり、新規の製造は難しいようです。製品自体に「HERMES」などの文字が入っていなくても、バッグの形状などが類似していれば商標権の侵害となる場合があるようです。
過去にも類似品を販売し、商品券侵害行為差止等事件などは起こっています。
- 南京錠
- 上部のベルト
- 横から見たときの三角形の形状
どの部分が「似ている」とNGなのか、明確なものはわかりかねますが、「形状が似ていて」、「誤解を招く恐れがあるもの」はエルメスから訴えられかねないということでしょうか。
エルメスのバーキンがあまりにも有名なバッグなので、このようになったのだと思いますが、あまりにも厳しくしてしまうと、個人的には「デザインの自由」「選択の自由」を奪っているように感じるのは私だけでしょうか?
個人的には、なにもエルメスじゃなくても、バーキンのようなデザインは大好きです。卵が先か鶏が先か、の話ですが、もしもエルメスのバーキンを知らなかったとしても、デザインとして惹かれるのではないでしょうか?
ZOZOやQoo100にはエルメスバーキン風のハンドバックはないのか?
何もエルメスのロゴがなくても、「バーキンの偽物」くらい似ていなくてもいので、あのベルトがあり三角形であり、南京錠がついた「バーキン風のデザイン」は素敵だと思う。
バーキンの定義とは
そもそもバーキンの定義はあるのでしょうか?デザインや素材などを特徴をまとめてみます。
- 1984年に女優で歌手のジェーン・バーキンのために特別にデザインされたバッグ
- 高品質なレザーを使用。クロコダイルやオーストリッチなど高価な素材が使われることもある
- ボックス型でしっかりとした作り
- 主なサイズは5cm刻みで、幅25cmから50cmまであります
- 金具はゴールドかシルバー
- 2本の短いハンドル
- ターンロック式(南京錠)の留め具
- 内側にはポケットとスナップボタンがついている
- エルメスの象徴であるロゴが刻印されている
- 職人が手作業で作っているため、入手が困難で注文から実際に手に入るまで長い時間がかかることもある
- 入手するにはウェイティングリストに登録する必要がある
- バーキンは大容量で、多くの荷物を収納できるように設計されています。バッグの入り口が大きく開くため、簡単に物を出し入れでき、内側にはオープンポケットやファスナーポケットが配置されており、小物の整理が容易
- エルメスの馬具工房としての伝統を受け継いだ頑丈な作りで、底の四隅には金具を配置しているため、フロアに直置きしても本体のダメージが少ない
- サイドのマチ幅を調節できるため、荷物の量に応じて適切なサイズに調整できる
エルメスに類似品だと思わせるデザインの要素
では、どこまで似ていたらエルメスに類似品だとされるかをまとめてみます。
- エルメスのロゴ、ブランド名、商標と似ているデザイン
- 製品のデザインを完全に模倣したり、重要な特徴を模倣すること(バッグの形状、シルエット、特徴的なデザイン要素(例えば、特定の留め具やハンドルのデザイン)
- エルメスがブランドを象徴するカラーやフォント、素材を使用していること
- デザインの全体的な印象(エルメスのブランドイメージを連想させるようなデザインは特定の要素を模倣していなくても商標権侵害になる可能性がある)
- エルメスの顧客層とターゲットユーザーが重複する場合
おおざっぱに言うと「消費者に誤認させる可能性があるものは商標権侵害に該当する」と言えます。
エルメスが持っている「立体商標」の特徴とは?
エルメスのバーキンの立体商標は、特定の形状とデザイン要素を保護しているため、これらの要素が類似するデザインは商標権の侵害と見なされます。
- 正面・背面の形状
- 蓋部の形状
- 正面から見た際の形状・装飾
- ハンドルの形状
- 側面の形状
では、私のような一般庶民は“エルメスバーキン風”デザインのカバンは一生手にできないのだろうか?
ここからは、何も偽物を探しているのではなくて「バーキンを持ったときのような満たされた気持ち」を体感できるであろう商品をピックアップしてみます。
バーキンの代替え品になりうる別ブランドのバッグ

マルベリーのベイズウォーター
コロンとした形状がショルダーバッグ。エルメスのように本体を包み込むようにあるサイドベルトはありませんが、十分上品で上質な質感です。お値段264,000円

DEMELLIER/デメリエー The Hudson
ロンドン発のバッグブランド。ZOZOではスピック&スパンやトゥモローランドから出品されていました。お値段132,000円

kate spade new york(ケイトスペード)/デコ カラーブロック ミディアム サッチェル
ケイトスペードは以前からエルメスバーキンに代わるものとして名前が挙がることが多いブランド。こちらのシリーズは皮のものやお値段ツイードのものなど、素材違いもあります。お値段64,900円

Maiden Voyage(メイデンヴォヤージュ)/MB055A-フラップトートバッグ
ビジネスや旅行にと広いシーンで使えるトートバッグ。お値段73,700円

Samantha Thavasa(サマンサタバサ)/ベルトデザイン サマンサアゼル
ベルトや南京錠、キーデザインがおなじみ。カジュアルなスタイルにも持ち歩けるタイプです。お値段44,000円

PRATO MADE IN ITALY/ベルト トートバッグ
トートバックというだけにわりと大きめ。イタリアのトスカーナ地方のブランド「PRATO MADE IN ITALY」。お値段23,100円

本革ハンドバッグ
ノーブランドながらしっかり本革のハンドバッグ。ビビッドな色の組み合わせのものから、ベーシックなカラーリングなどもあり。お値段9,590円

本革ハンドバッグ
ブラウン、グレージュ、ブラックの3色展開。普段使いにガシガシ使える価格がうれしい!お値段9,210円
意外とバーキン風のデザインは多くありました。ただ、個人的にはウォルマートで販売していたワーキン。また手に入るようになったら、手にしてみたいので、しばらくウォルマートを頻繁にチェックしたいと思います!