結婚をして、出産をして。
そして、たまに思う。
もう、恋愛はできないんだろうなぁ~・・と。
そして、過去に出会った男性達。
未練があるとか、そういうことではなく、どうしているかなぁ~・・と。
本当に、ふっと。
そんなことを考えて、過去の男性達を振り返ってみようと思う。
※このシリーズは小説調で綴ります(笑)
幼い子供を一人で育児するシングルファーザーT氏
なかなか結婚しないトメコを心配して、親友が段取ってくれた合コン。
男性幹事がT氏、女性幹事がトメコでした。
T氏は奥様を病気で亡くしたシングルファーザーで、幼い子供2人を育てていました。
そういった話も親友から事前に聞いていたけれど、30の半ばで開催される合コンなんて、まっさら男子が参加することなんて稀で、バツイチや子持ちなんて珍しくはありませんでした。
特になんとも思わず、顔もわからないまま、メールで合コンについての相談をし合いました。
顔を見るのは、合コン当日。
第一印象、「あら、若いじゃん♪」
背は低いけれど、年上の割には見た目は若い。
アウトドア系ブランドのカジュアルな服装も悪くない。
ただ、今回トメコは幹事。
自分よりも友達に楽しんでもらいたい、とにかく「楽しい会にしたい」という思いの方が強く、このときは特になにも思いませんでした。
余り覚えていないけれど、多分どこかの居酒屋で飲んで、二次会にカラオケ。
音量の大きく、騒がしい中で幹事同士「今日はどうだった?」なんてコソコソ話したことだけ妙に覚えている。
距離が近くなったのは合コン後のふたり反省会
合コンも無事終わり、メールで幹事同士「お疲れ様!」の連絡。
まぁ、ここまで普通の話。
大体はこのお疲れ様メール後に音信不通になるのが常で。
ただ、この時は「ふたりでお疲れ様会でもしますか」ということになり、後日、ふたりで反省会と題して飲みに出かけることになった。
このときにT氏は
実は俺・・子供いるんだよね
と告白。
はい、それがなんでしょうか(合コン前から知ってたし)
真顔で返すトメコ。
この、なんてことないやり取りが
「既婚者、子持ちの俺と普通に飲んでくれる女子!!」となったらしい。
それからメールでやり取りが続き、2度目のサシ飲みの時に、なんとなく・・付き合おうか、ということに。
子供がいても、私的には「まぁ、なんとなるかなー」くらいにしか思っていなかった。
それよりも、奥様を亡くし、子供を一生懸命育てている彼の姿に尊敬の念を抱いていたし、ある意味それがなかったら、惹かれていなかったかもしれないとさえ思う。
甘い!甘いよ、トメコ!付き合ってからが難しかった!
奥様は病死して2年ほど経っていたようだった。
お子さんは5歳と3歳の女の子と男の子だった。
やっぱり結婚したことがない私、出産したことがない私、子供を育てたことがない私には、「子供がいる生活」というのをなかなか理解することができなかった。
デートが子連れでも、どちらかの家ばかりでも、それでも良かったんだけど、どうも自分の立ち位置が分からない。
私のことを好きで付き合っているのか、お母さん候補として選ばれているのか。
この微妙なところで心が不安定になっていった。
そんなある日、彼がネックレスをしていることに気が付く。
服を脱いで分かる。「結婚指輪」。
うん、仕方ない。嫌いで別れたわけではないし、離婚とも違う死別。
つらいのは分かる。それを全部ひっくるめての“付き合い”だ。
でも、気になったのが、最初の方のデートには付けて来ていないということだ。
付き合うことが決まって、少ししてから、わざわざ結婚指輪にチェーンを付けて、首にぶら下げている。
夜を共にするたびに、それが目に入る。
既婚者と不倫しているみたいな気になった。
クリスマスも頓挫。サンタクロースは来なかった。
もやもやした気持ちをどこかに残しつつも、付き合いは続いていた。
子供がいるから、そう毎日は会えない。
大体仕事が終わってから少しのメールと、子供が寝静まった後の電話orメールでつないでいる感じだった。
初めてのクリスマス。
平日だったのもあって、どうする?といった相談もなく、会わないのが当たり前、のように当日を迎えた。
彼は来ない。子供たちのサンタクロースにならないといけないらしかった。
うん、子供が一番なのは分かる。
でも、トメコは初めてのクリスマス。一人ぼっちの部屋で過ごすのが・・とてもつらかったのを覚えている。
今思うととても面倒な女なのだけれど、フォローをしてくれてもいいじゃないか?と思っていじけていた。
お父さんが女を連れ込むって子供はどう思うんだろう?
たまには彼の家にも行った。
ご両親と共に住んでいる大きい一軒家だった。
いきなり来た【彼女】に、ご両親はビックリしている様子だった。
子供たちと遊んで過ごし、寝かしつけたら2人の時間。
でも・・お母さんが寝ていた場所に、“彼女”がお父さんと一緒に寝てるってどんな気分なんだろう・・。
泊まるわけにはいかないので、事が済んだら寝ないように1人で帰るのだけど、車を運転しながら心がシクシク痛む。泣きながら帰ったこともある。会うたびにどこか心に傷を負っていた。
極め付けは、デート中、何気ない会話で、彼の子供の男の子3歳が
「・・・ぼくのママ、しんじゃったんだ・・・」と。
返す言葉なかった・・。
あぁ。。なるほど。“お父さんの営み”ってこういう風になるのだな。
ある意味目からウロコだったのが夜の営みだった。
今から推測するのは、子供がいる夫婦って、夜、そんなにゆっくり時間を取れない。
子供が起きるかもしれない、というヒヤヒヤ感もある。
また、お互いが恋愛ではなく、家族になっている中での営み。
んーーーっと、なんていうか・・・ゼンギがない(笑)
すぐ終わる。何をそんなに急いでいる?っていう感じ。
付き合い始めのカップルのそれ、じゃない、っていうか・・。
そそくさと終わり、そそくさと帰っていく(トメコの家にいるときは)または寝る。
余韻なし。コウギもなし。
きっとね。こういうやり方に慣れちゃっていたんだろう、彼は。
夫婦のそれ、子供のいる家庭のそれ、になっちゃっていたんだろう。
正直・・・カルチャーショックだった。(今なら納得 笑)
死という言葉の重み、小さな違いがすれ違いを生む
こんなこともあった。
死という言葉に対する重みの違い。
私も気を付けていた部分はあったけれど、たまに普通の会話で「死んじゃうよー!そんなーん 笑」とかさ、「もう、死にそげー!」とかさ、口走ってしまうことがあり、そんな瞬間、彼の口調が変わり
[kaiwa6]死とか簡単に使うなよ[/kaiwa6]
と。
分かる。
うん、分かる。
その通りだと思う。
大事な人を亡くされた経験があるのだから、のほほんと生きている私が、簡単に口走る「死」という単語が許せないのだというのも理解できる。
・・・でも、毎回どこか気を使い、なんだか自分の立ち位置もわからず、私の心は細かい擦り傷だらけになっていた。
無理だ・・子供がいない私にとって、子供がいる人との恋愛は。
そんなことを考えて疲弊し始めていた。
彼は彼なりに、彼女が出来てから気づくことがあったらしい
トメコなりに悩んだ時間だったけれど、彼は彼なりに悩んでいたらしい。
どうも、付き合い始めの最初は「彼女ができた!やった~♪」らしかったけれど、じわじわと亡くなった奥様への罪悪感にかられていたそう。
俺、、彼女つくってていいんかな?という気持ちが強くなったらしい。
今思えば、クリスマスを一緒に過ごさなかったのも、思い出が上塗りされるのを拒否したんだと思う。
そういうことの拒否反応から「やっぱり、俺、嫁さんが好きだわ」という気持ちが強くなっていった、ようだった。
忘れられてない。
彼女を作れば忘れられるさ、ではない
きっと、私と比べて、嫁さんの方がいい、ってなったのだろうが、始めっから彼女を作っていい土台がないままのスタートだったんだろうと思う。
“亡くなった奥さん”は亡霊のように現れる
日常の会話にもよく“奥さん”を出してくる人だった。
過去の恋愛とも違う、“前妻”とも違う存在。
T氏は、自分達の結婚式の話とか、奥様にあげたプレゼントの話なんかを、よくしてきた。
どうなんだろう?普通はあんまり・・しないよね?
彼にデリカシーがないのか、私の心が狭いのか。
彼の“奥様”は、亡霊のように現れて、私を苦しめた。
亡くなった方なのに、嫉妬をするようになっていた。
亡くしてから2年しか経ってなかったのもあるかもしれないけれど、言い方は悪いけれど亡くなった方に勝てる気はしなかった。
思い出はどんどん美化されていくだろうし、いろんな感情を抱かされた人にはどうやっても勝てない。
そんなこんなでT氏とは最後にお互いの胸の内を話し合い、2か月足らずでお別れすることになった。
それまでデートも2回くらいしかしなかったし、過去最短を更新した付き合いだった。
T氏のその後
T氏はその後、保母さんと再婚した、という話を聞いた。
それを聞いたのは、トメコがまだ婚活中のとき。
結構、ショックだった。
くっそーーー!って思ったね(笑)
でも、子供がいるT氏にとって、保母さんと結婚するということは理にかなっていると思った。
いい人、見つけたねぇ~って。
でも、結局、その再婚相手ともすぐに離婚したらしい。
どうやら奥様の方が精神崩したらしい。
その再婚相手の奥様の気持ちも・・・分かる。
難しいよね、自分の子供じゃない子を育てるって。
いきなり同居だったと思うし。
田舎の“本家”の“ご長男”の“自営”のお家だったものね・・・
あぁ、、今思えば、本当に難しい恋愛に挑んでいたな。
T氏よ・・・。きっとまた再々婚するのでしょうが、トメコのように苦しんだ人がいたことも忘れないでいてください(笑)
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